老朽化したマンションを建て替えるには、区分所有法の中でも最も重い決議要件をクリアする必要があります。
先生、建替えってなんだかすごく大変そうなイメージがあるんだけど、実際どうなの?
その印象は正しいわ。建替え決議は集会において、区分所有者及び議決権の各5分の4以上が原則という、区分所有法で最も重い要件を必要とするの。
普通決議や特別決議と違って、母数は出席者ではなく区分所有者の全員よ。
補足すると、2026年4月施行の改正で、要件が軽くなる場合ができましたね。
そうなの。
耐震性の不足、火災に対する安全性の不足、外壁などがはがれ落ちて周りに危害が及ぶおそれ、給排水管などの腐食で著しく衛生上有害となるおそれ、バリアフリー基準への不適合。
このどれかに当たる建物は、各4分の3以上で建替え決議ができるわ。
先生、招集手続についても普通の集会と違いがあるのですか?
あるのよ。
建替え決議を目的とする集会の招集通知は、会日より少なくとも2か月前に発しなければならないの。
しかも招集の際には、建替えを必要とする理由なども通知する必要があるわ。
うぅ〜ん、2か月も前だなんて、普通の1週間前とはずいぶん違うのぉ。
それだけ区分所有者の生活に大きな影響を与える決定だから、じっくり検討する時間を確保する必要があるのよ。
実際には説明会を開くことも義務づけられているの。
よっしゃ、建替えは原則5分の4、通知は2か月前、説明会もあり!
特別中の特別ってことだね!
…まどかちゃんにしては、うまくまとまっていますね。
確認クイズ
区分所有法における建替え決議に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 建替え決議は、集会に出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数で決することができる。
- 建替え決議を目的とする集会の招集通知は、会日より少なくとも1週間前に発すればよい。
- 建替え決議は、原則として、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数を必要とする。
- 建替え決議に際して、説明会を開催する義務はない。
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正解: 3. 建替え決議は、原則として、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数を必要とする。
正解は3。建替え決議は、区分所有者の全員を母数に、原則として各5分の4以上の多数を要します(耐震性の不足などの事由に当たる建物は各4分の3以上)。1は出席者ではなく区分所有者の全員を母数にするため誤り。2は少なくとも2か月前に発する必要があるため誤り。4は説明会の開催が義務づけられているため誤りです。
2026年4月の改正で加わった決まり ― 建替え以外の再生と、賃貸借の終了
建て替えるほかにも、建物を生まれ変わらせたり、区分所有の関係を終わらせたりする方法が、多数決でとれるようになりました。
先生ぇ、建て替えるお金が足りないマンションは、どうすればいいのぉ…?
2026年4月施行の改正で、建替え以外の道が増えたの。
まず、骨組みを残して建物全体をつくり直す建物更新決議。
いわゆる一棟リノベーションね。
売却する方法もできたのですよね。
そうよ。
建物と敷地をまとめて売る建物敷地売却決議、建物を取り壊してから敷地を売る建物取壊し敷地売却決議、建物を取り壊すだけの取壊し決議の3つよ。
要件は建替えと同じなの?
同じよ。
どれも原則は各5分の4以上で、耐震性の不足などの事由に当たれば各4分の3以上。
敷地を売る2つの決議は、区分所有者と議決権に加えて、敷地利用権の持分の価格でも同じ割合が要るわ。
先生、部屋を借りている人がいる場合は、どうなるのですか?
建替え決議などがあったときは、賃貸借の終了請求ができるようになったの。
請求の日から6か月がたつと賃貸借は終わり、借りている人は補償金を受け取れるわ。
補償金の提供を受けるまでは、明渡しを拒めるのよ。
よっしゃ、建替え・更新・売却・取壊し、ぜんぶ原則5分の4!
借りてる人には6か月と補償金!
確認クイズ
2026年4月施行の改正区分所有法で新たにできた決議に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 建物敷地売却決議は、区分所有者全員の同意がなければすることができない。
- 取壊し決議は、集会に出席した区分所有者及びその議決権の各過半数ですることができる。
- 建物更新決議(一棟リノベーション)は、原則として、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数を必要とする。
- 建替え決議があっても、専有部分の賃貸借を終わらせる請求は一切できない。
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正解: 3. 建物更新決議(一棟リノベーション)は、原則として、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数を必要とする。
正解は3。建物更新決議は、建替え決議と同じく原則各5分の4以上です(64条の5)。1の建物敷地売却決議は、原則として区分所有者・議決権・敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上でできるため誤り(64条の6)。2の取壊し決議も原則各5分の4以上のため誤り(64条の8)。4は、建替え決議などがあると賃貸借の終了を請求でき、請求の日から6か月で終了するため誤りです(64条の2)。