前払金・未払金 ― 費用をどの期間に対応させるか

保険料の一括払いや工事代金の後払いなど、費用の期間帰属を前払金・未払金で調整する考え方です。

支払いのタイミングと、費用が実際に対応する期間はずれることがあります。そのずれを調整するのが前払金・未払金です。収入側の未収金・前受金と対になる仕組みとして押さえましょう。

相良 紗英(普段) 相良 紗英

先生、未収金と前受金は管理費収入の話でしたが、支出の側にも似たような仕組みがあるんですか?
対称的な話が聞きたいです。

黒瀬 志保 先生(普段) 黒瀬 志保 先生

いい質問ね。
支出の側には前払金と未払金があるの。
具体例で見てみましょう。
会計年度が4月〜翌3月の管理組合で、2月1日に向こう1年分の火災保険料36,000円(月3,000円換算)を一括で支払ったとするわね。

日向 まどか(普段) 日向 まどか

え、1年分まとめて払ったら、その36,000円全部が今期の支出になるんじゃないの?
払った月にドンと計上する方が自然な気がするけど。

黒瀬 志保 先生(普段) 黒瀬 志保 先生

そう思うわよね。
でも今期に対応するのは2月・3月の2か月分、6,000円だけ。
残り10か月分の30,000円は、来期の費用に対応する分だから、いったん前払金という資産として計上するの。

白石 みつき(笑顔) 白石 みつき

あっ、それって…うちのお店が来年分の包装紙を年末にまとめ買いしても、使う分だけその年の経費にして、残りは在庫として次の年に持ち越すのと似てるのぉ?

黒瀬 志保 先生(笑い) 黒瀬 志保 先生

ふふっ、まさにそう。
逆に未払金は反対のケース。
たとえば3月に消防設備点検50,000円が完了したけど、請求書が来て実際に支払うのは4月だったとするわね。

相良 紗英(普段) 相良 紗英

先生、質問があります。
点検という役務は3月中に完了しているので、支払いが4月でも今期(3月まで)の費用として未払金50,000円を計上する、という理解で合っていますか?

黒瀬 志保 先生(笑顔) 黒瀬 志保 先生

完璧よ。
前払金は「先に払ったけどまだ来期の分」、未払金は「まだ払ってないけど今期の分」。
どちらも発生主義で期間を正しく対応させるための科目なの。

日向 まどか(笑い) 日向 まどか

よっしゃ、要は「払った時」じゃなくて「その仕事がいつの分か」で考えるってことだね!

確認クイズ

2月1日に向こう1年分の火災保険料36,000円(月3,000円換算)を一括払いし、会計年度が3月31日で終わる場合の処理として、最も適切なものはどれか。

  1. 支払時点で36,000円全額を今期の支出として計上する。
  2. 今期(2月・3月の2か月分)6,000円のみを費用とし、残り30,000円は前払金として資産計上する。
  3. 支払った1年分の保険料は、すべて前払金として翌期の費用にまとめて計上する。
  4. 保険料は現金の動きがないため、仕訳の対象とならない。
こたえを見る

正解: 2. 今期(2月・3月の2か月分)6,000円のみを費用とし、残り30,000円は前払金として資産計上する。

正解は2。発生主義では今期対応分のみ費用計上し、未経過分は前払金(資産)として繰り越す。1は全額を今期費用とする点が発生主義に反し誤り。3は今期対応分の6,000円は今期の費用とすべきであり、全額を翌期に回すのは誤り。4は現金を実際に支払っているため当然仕訳の対象となり誤り。

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